本章では「毒と人間」をテーマに、太古から近現代にわたる「毒」と人間の関わりを考えます。
狩猟や戦、処刑や暗殺、また「毒」を研究することにより薬を生み出すなど、私たち人間は毒と向き合い、その正体や本質に迫りながら、毒を利用する方法を次々と編み出してきました。人間の歴史において、そして人間にとって、毒とはどんな存在だったのでしょうか?さらに、科学の進歩による「毒」の解明、その利用などの「毒」の研究も紹介します。
毒の人類史
古代の毒、中世から近世の毒―、
そして近現代の毒
人類が毒をどう扱ってきたのかという歴史は、同時に人類の科学的活動の歴史を示しているとも言える。
パラケルスス
(1493~1541)
スイスの医学者(同時に化学者でもあり、錬金術師でもあった)
「あらゆる物質は毒である。毒になるかクスリになるかは、用量によるのだ」という言葉を残した。

フリッツ·ハーバー
(ドイツの化学者)
空気中の窒素からアンモニアを合成する方法の開発に成功し、1918年にノーベル賞受賞。第一次世界大戦時には毒ガスの開発に関わった。
